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政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

スコットランドでもロンドンでも ― 民主主義が効かない

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英国EU離脱国民投票の行方

 

 

国民投票結果の各地での余波

EUからの離脱を求める国民投票の余波が続いている。

スコットランドでは残留支持が離脱を上回り62%に達した。住民の多くはEUの残留を望んでいるため、離脱の判断を下した英国からの独立の気運が一層強くなるだろう。イングランドでは離脱派が53.4%で多数を占めたが、これに反して金融の中心地のロンドンのシティーでは残留派が圧倒的に多く75.3%を占めた。住民はEUからの離脱は国際金融の中心の地位を失うことを恐れたからである。

 

EUと政府への反感

英国民はEU加盟国の恩恵を十分享受してきており、これについては誰も異を唱えない。一番の問題はEU加盟国の国民は域内を自由に移動し労働出来ることにある。英国の労働者は外国人労働者が安い賃金で自由に英国で働けることに強い不満をもっている。リトアニアからの労働者の場合、英国での賃金は母国との4倍である。彼らはブリティッシュ・ドリームを実現するために大挙英国を目指すのである。英国の経営者にしてみれば、安く労働者を確保できるので非常に好都合である。EU離脱が75.6%を占めた英国中部のボストンの人口7万人の2割が外国出身者である。

 

英国の労働者は政府に対して移民の制限を求めてきたが、EUの規則により政府は何らの対策が行えなかった。英国には「0時間契約」という経営者が労働者を自由に自宅待機させることができる制度がある。この制度はキャメロン政権が失業率を減らすために推し進めた政策であったが、英国人労働者を二重に苦しめる結果となった。

 

英国人気質

英国はは島国であり、歴史的にも大陸との距離感がる。大英帝国を築いたというプライドも高い。自分のことは自分で決めたいという気概を持っており、とりわけ年配者はその傾向が強い。

 

国民投票の失敗

キャメロン政権は国民の不満をかわすために国民投票に打って出た。残留派の勝利を目論んでいたが、移民問題が争点になってしまった。想定外の結果で首相は責任を取り辞意を決意するに至った。

 

国民投票の再実施

このように国民投票のEUからの離脱決定に対して、離脱反対派は英国各地で反対運動を起こし、国民投票の再実施を求めている。

 

国民投票の請願の署名が10万人を超えると下院の審査を経て議会は審査に入らなければならない。国民投票を行うことが法律で決まっているわけではないので実施するか否かは政府の判断により決まる。

 

今回の国民投票の結果を尊重して、政府がEUからの離脱を決定すれば、再度の国民投票は行われず、離脱手続きを進められる。政府がEUの残留を望めば、再度、国民投票を実施して、残留派が過半数を占めれば、離脱しないことを通告することになる。英国政府は経済不況のみならず、国の分裂の危機を抱えることになり、対応に苦慮することになる。正統派の民主主義国でも選挙で事を決することが出来ないのである。

 

 

まとめ

  •  国論を二分する論争。
  • グローバル化による社会の歪。
  • 富めるるものと貧しきもの。
  • 孤立志向と過去の栄光。
  • ガス抜きのつもりがガス爆発になってしまった。
  • 民主主義が効かない。