一老人の思い込み

老人の目から見た日本と世界

中国の景気減速とアジアインフラ投資銀行

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中国の景気減速から生まれた国際金融機関

 

 

AIIBの目的

中国は景気が減速により生じた過剰設備や資材を処理するために一帯一路構想を打ち立てた。この構想を実現するための資金を調達するための組織がアジアインフラ投資銀行(AIIB)である。

 

これまでアジアのインフラ整備に対する資金需要にアメリカや日本が主導するアジア開発銀行(ADB)はアジアのインフラ需要に十分応えてこなかった。インフラ整備を急ぎたいアジア、アフリカ諸国や中国との経済的な結びつきを強めたい各国がAIIB設立に参加した。

 

AIIBは政治色が強く、運営に透明さが欠けるため、日米カナダは参加を見送った。米国はG7諸国に参加を見合わせるように求めたが、英国が参加を表明したためフランス、ドイツ、イタリアがこれに追従した。

 

AIIBは57カ国を設立メンバーとして発足しており、2017年には加盟国が81ヶ国となり、日本主導のアジア開発銀行(ADB)の 67ヶ国を超えることになった。

 

参加国の思惑

英国は経済的な存在感を増している中国の通貨である人民元の海外取り引きの拠点になることを目指し、中国と金融面での関係強化を進めてきた。ドイツのメルケルはすでに首相として2016年までに9回も訪中しており、中国との結びつきは非常に強くなっている。フランスもイタリアも重要な貿易相手国であり、かつ中国からの巨額な投資を期待しており、中国のご機嫌取りを行った。西欧諸国は更に有望な投資先であるアジアのインフラ市場を開拓するねらいもあった。

 

AIIBの問題点

AIIBは中国の国益のために存在し、他国を利するために設立された金融機関ではない。融資の決定には中国の意向が重視され、中国企業に有利になるような契約が行われる恐れがある。

 

中国の景気減速により、鉄鋼、セメント、建設機械などの生産能力が過剰になっている。中国政府は国内の余剰設備や資材をアジアのインフラ整備に活用するはずである。中国の、中国による、中国のための(中国が所有し、中国が実行し、中国の利益になる)AIIBであり、アジアの繁栄のためのものではない。参加国は出資を求められたに過ぎず。参加国の企業が優遇される保証はない。

 

中国は組織運営の効率化を理由に本部のある北京に理事を常駐させない方針であり、融資の議決権権は中国が握っているため、すべての案件は中国の思惑通りに進む可能性がある。問題の有るプロジェクトに対して参加国は異議を唱えることが出来なくなる恐れがある。

 

中国国内の大規模プロジェクトの遂行は共産党政権による強権があるからこそ可能である。中国では民主国家では当然の権利が不当に制限されている。海外では、土地収用や環境の問題が起き、問題は直ちに報道されてしまう。中国流のプロジェクトの遂行は海外では通用しない。中国は結局、鬼城を海外展開することになる。

 

 

まとめ

  • 背に腹は代えられない参加各国。
  • AIIBは中国の、中国による、中国のための国際金融機関である。
  • 中国の景気減速により余った設備や資材をアジアのインフラ整備に活用する。
  • 中国の常識は、世界では通用しない。