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政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

英国のEU離脱と国内の分断

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ポピュリズムとパンドラの箱

 

 

各地の動き

 

残留が多数を占めたスコットランドでは投票の後、メディアは独立を掻き立てている。スコットランドは歴史的にヨーロッパとのつながりが深く、2年前には英国からの独立を問う住民投票が行われた。キャメロン首相はスコットランド独立を思い止まらせるために、EUに加盟している英国に残留することが最善の道だとスコットランドの住民を説得した。スコットランドの住民は残留になるだろうと考えていたが、離脱決定に対して、憤りを感じている。スコットランドではEU残留のため、英国からの独立の気運が急激に高まってきている。スコットランド議会は英国の決定に対して拒否権の行使も考えている。

 

スコットランド政府は閣議を招集し、独立のための国民投票の準備を始めることを決めた。スコットランドはこの機を逃さずに素早く行動をとることにより、独立に対して多くの支持が集まることを期待している。

 

しかし、独立の是非は2年前に確定されているので、再度の国民投票は困難である。実際に英国から独立するには資金の問題(北海原油の価格低下)と通貨の問題(英国政府はポンドの使用を認めていない)を解決しなければならない。

 

ロンドンでは多数が残留に投票した。離脱は、世界の金融センターとしての地位を危うくする。離脱により、シティーに拠点をおいている海外の銀行はヨーロッパに拠点を移すことになり、多くの雇用が失われる。離脱を阻止するために、ロンドンの英国からの独立を求めるサイトが現れ、多数の署名を集めている。ロンドンの大半の市民はヨーロパの一員であることを望んでいる。

 

EU域内からの移民

 

EU各国からの英国への移民の増加や英国内の格差の拡大が英国の分断を深刻化させている。離脱に投票した人の多くは移民により仕事が奪われていると考えており、英国のEUからの離脱決定により分断が一気に表面化した。英国で職を得ている多くの移民は職を失うことを恐れている。排外主義者の高まりや、家族が差別を受けないか心配しており、帰国も考えている。

 

ポピュリズムによる混乱

 

政治家のナショナリズムの扇動により英国民は内向きになり、グローバルな視点を失なってしまった。不満解消のための国民投票により英国の問題が一気に噴き出し、パンドラの箱を空けてしまった感がある。国民投票により、僅差でEUからの離脱が決定されてしまったので、有権者の半数を占める残留派の不満はすぐには解消しそうにない。投票結果により離脱が現実なものとなり、英国民の多くは離脱に投票したことに後悔することになった。

 

離脱派の政治家は国民に嘘をついて離脱派を増やした。ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は毎週EUに480億円を拠出しており、この金を取り戻し英国の医療費に当てようと国民に訴えた。しかし、実際の拠出金は200億円であった。嘘の情報で離脱派を増やしたことに対して、批判が集まり、再投票を求める声が高まっている。再投票を求めるネット上の署名は僅か3日で300万人に達している。国民投票は民主的な制度であるが、ヒットラーのような独裁者が権力を掌握するために行う手法でもある。国民投票は、国の分断につながる危険な制度であり、議会政治にはなじまないものである。キャメロン首相は誤った手法を使い、失敗して、英国のみならず、EUそれに世界をを混乱させてしまった。英国はこれまで3度国民投票を行っており(一度目は英国が欧州経済共同体加盟、二度目がスコットランドの英国からの独立を求める国民投票、三度目が今回の英国のEUからの離脱を問う国民投票)、そのうち2度ともキャメロン首相のもとで行われた。

 

300年続いた英国の国家体制をも揺るがしかねない混乱が起こってしまった。政治家に扇動され、面白半分で騒いでいたが、いざ決まってしまうと、事の重大さに驚愕することになる。

 

Brexit (British + Exit)からRegrexit(Regret + Exit)に変化してきた。

 

まとめ

  • スコットランドの独立問題。
  • 地域間、移民、格差による英国の分断。
  • ナショナリズムとポピュリズム。
  • 国民投票という禁じ手。