一老人の思い込み

老人の目から見た日本と世界

爆買い以降の日中関係

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中国の若者は日本を知ることにより反日愛国教育の呪縛から目覚める

 

 

中国政府の愛国教育

1990年代生まれの中国人が日本に対して好感を持っていないのは政府がマルクス主義から反日愛国主義に転換したからである。共産党は正当性を国民に示す必要が有るため、戦争被害を煽り、中国各地に日本軍の残虐さを示す反日展示館を作り、反日教育を徹底するために修学旅行の訪問先に反日展示館を指定した。

 

雑誌「知日」の発刊

中国の出版界は今、日本ブームであり、毎年2000点近くの日本の文学が翻訳されている。大型書店では日本の特集コーナが人気を集めている。その中で、「知日」という日本を紹介した雑誌がひときは注目されている。「知日」は日本の歴史から最先端の風俗まで、日本人でも知らない幅広いテーマを取り上げており、若者を中心とする熱心な読者が人気を支えている。

 

「知日」は大手出版社出身の蘇静氏(34歳)により創刊された。彼は「知日」創刊時には日本の知識はまだ深いものではなかった。彼の学生時代の日本の印象は偏見に満ちており、反日愛国教育により良い印象を持っていなかった。しかし日本の映画や本に触れて育ち、いつの間にか日本の文化や日本人のライフスタイルにも親しみを覚えるようになり、自分の将来が日本に有るのではないかと思うようになった。例え日本が敵でも、学ぶべきことが有るのではないかと思うようになった。

 

「知日」が創刊されたのは5年前、日中関係が最も冷えきっていた時期である。大規模な反日デモが頻発していた。それにもかかわらず、知日の読者は増え続けた。8、000部を見込んでいた創刊号は2ヶ月で35,000部を売り上げた。反日デモの裏に日本に対して高い関心があることがわかった。現在も読者が増え続け、日本語を学ぶ若者が増えている。現在、月に1度北京で「知日」の読者サロンが開かれ、多くの若者が「知日」のテーマについて熱心に感想を交わしている。

 

爆買いから始まった日本ブーム

中国のGDPは世界第2位。かっての世界の工場は消費大国に生まれ変わろうとしている。個人所得が倍増し、人々は真の豊かさを求め始めている。海外旅行も盛んになり、日本政府の中国人に対するビザ要件緩和などの効果もあり、2015年に日本を訪れた中国人観光客数は約500万人に達した。

 

中国人観光客の目的は自国で手に入らないものを大量に買う爆買いであった。中国人はメイド・イン・チャイナとわっかていても日本に買い物に来る。日本人が使っているものだから安全だと思っている。中国人観光客は日本での感動をSNSで中国に発信しており、これを多数の中国人が見て、日本に対する興味がわき、日本を訪れる。それで、日本ブームが起こった。

 

中国の景気減速も影響し、中国政府は日本での爆買いを抑えるために高い関税をかけ始めた。しかし日本ブームは終わってはいない。中国人観光客は、日本で中国では得られない感動を覚えている。中国人は、急激な経済成長とそこから生まれる社会の矛盾や歪を感じていた。日本の文化に触れることで自らを見つめなおそうとする機運が出た。中国の工業技術の進歩はめざましく、一部は日米を追い越しているものも有る。しかし、失われた文化があまりにも多く、日本に来て気づかされることが多いと言っている。中国人観光客の間で、日本の伝統工芸を体験するツアーに人気が集まっており、一人50万円のツアーでもすぐに定員に達しているという。

 

中国人識者の思い

中国人の日本旅行が増加していることに、中国の著名な作家劉檸(りゅうねい)氏は関心を示している。「今はまるで民族大移動のように中国人が日本に押し寄せている。ここ千数百年で初めてのことだ。」

 

劉檸氏は更に、日本の政治状況が中国人に与える影響にも注目している。「日本は政府を批判する自由が憲法により保証されている。一見日本国民だけの問題だと思うかもしれないが。アジアの中で、日本は立憲民主主義が最も成熟した国である。そのような国で立憲民主主義が後退すれば、アジア全体の不幸である。日本は成熟した民主法治国家の姿を見せることで、他のアジア諸国を牽引して欲しい。我々は日本の民主主義の成熟度と日本国民の理性を信じたい」とも述べている。

 

まとめ

  • 雑誌「知日」が日本好きの若者を増やした
  • 日本を知ることにより中国の若者は反日愛国教育の呪縛から開放された
  • 若い中国人による日中友好の可能性
  • 中国の識者による日本の民主主義後退に対する危惧