一老人の思い込み

老人の目から見た日本と世界

自動運転車の開発競争

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熾烈な競争がもたらす社会と産業の変革

 

2016年5月7日にアメリカのテスラ社製の電気自動車が自動運転中に大型トレーラと衝突して電気自動車のドライバーが亡くなった。テスラ社の発表によれば「後方の空が明るく光っていて、白い色をしたトレーラの側面をドライバーも自動運転機能も認識しなかった」と說明しており、さらにテスラ社は事故を起こした車は自動運転車ではなく運転支援車であり、システムは開発途上で完璧ではなく、ドライバーは常に注意が必要とコメントしている。

 

自動運転車の分類

自動運転車はドライバーの操作を必要とする程度に応じて次の4段階に分類されている。

レベル1ではアクセル、ブレーキ、ハンドルの1つのシステムが自動化。

レベル2ではこれらの2つのシステムが自動化。

レベル3ではこれら3つのシステムすべてを自動化。

レベル4では無人運転を実現。

 

自動運転の仕組み

自動運転車には数多くのカメラ、レーダ、センサーが備えられている。カメラは車全体を覆うように多数配置され、周囲に何が有るかを認識する。レーダは電波を使って他の車との距離を測る。さらにセンサーは赤外線を使ってで至近距離にいる人や障害物を正確に検知し衝突を回避する。

 

カメラは車外で何が起こっているかを認識するために使う。複数のカメラで撮影された映像はソフトウエアで瞬時に解析される。道路に引かれた白線や縁石の位置、さらに周囲を走っている車などを認識し、その上で最適なルートを選んで走行する。交差点では信号の色を判別して、赤から青に変わると自動で走り出す。さらにレーダやセンサーの情報も組み合わせて、車線変更や合流もスムーズに行う。自動運転で大きなカギを握るのは、画像から得た情報をハンドルやアクセルなどに的確に伝えることである。

 

走行実験

走行実験ではいろいろな条件で不具合が出ないかが調べられる、車線をはみ出した場合は、走行データを解析して、原因を調べ、ソフトウエアを修正して、不具合が無くなるまで、同じ条件での走行が繰り返される。

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人工知能の活用

自動運転車の開発にはAIを活用する段階に進んでいる。日産とトヨタはアメリカ・シリコンバレーに人工知能の研究拠点を設け自動運転の開発を行っている。より安全な走行にはあらゆる状況での判断が必要となるからであり、経験の蓄積に基づく判断が必要となるからである。

 

日産自動車の場合

日産自動車はシリコンバレーで一般道にも対応した自動運転の開発を行っており、公道で試験走行を繰り返している。コースはおよそ20キロメートル。信号や交差点の有る一般道も含まれている。このコースをハンドルやアクセルをふれずに、走り切ることを目指している。

 

テスラの教訓

テスラで事故を起こした車はレベル2の初期段階で運転支援の車であった。レーダを1つしか備えておらず、ハード的にも完全なものではなく、あらゆる事象に対応できなかった。メーカの先走りに、ユーザが惑わされた結果である。メーカ側は自動運転で何が出来て、何が出来ないかをドライバーに明確に説明する義務があるとの教訓を残した。

 

自動運転車の可能性

レベル4の無人運転車も登場し始めている。無人で、カメラとセンサーで周囲を確認しながら自動で走行する。人や障害物があるとすぐに止まる。運行するのは大手IT企業のDeNAである。2016年8月より千葉市の公園で実際に走らせることにしている。

 

自動車業界とインターネットで新しいタクシーの形態が実現されようとしている。候補地の一つに山口県の周防大島町が選ばれた。高齢化が加速し、交通も不便なため無人タクシーのニーズがあるからである。現状では法律により無人タクシーは認められていなが、企業と行政は無人タクシーの実証実験が可能になるように国にはたらきかけている。

 

自動運転車は交通弱者をサーポートすることになる。好きなときに利用できれば、車を所有する必要がなくなり、カーシェアリングにつながる。都市で交通量が減少し、渋滞が緩和する。その結果CO2の削減につながる。無人自動車が実現すると、ドライバーは不要になり、産業構造が大きく変化する。物流や運輸業界が特に影響を受け、労働力の大移動が起こる。

 

まとめ

  • 未熟な技術がもたらしたテスラ車の死亡事故
  • 自動運転車の4分類―運転支援から無人運転まで
  • 自動運転の仕組み
  • 日産自動車の場合
  • 自動運転車がもたらす社会と産業の大変革