読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

ルビコン川を渡るフィリピン大統領ドゥテルテ

広告

金正恩かそれともトランプか?

大統領は自分の好みで一国の運命を左右する決断をしても良いものだろうか?

 

ドゥテルテの資質

フィリピンのドゥテルテ大統領は、年内にロシアと中国を訪問し、独自の外交政策を展開するとともに、両国との連携を模索したいと記者会見の場で表明した。

 

ドゥテルテは、麻薬撲滅の名のもとに公権力のみならず、自分が中心となって組織した自警団にまで麻薬売人の殺害を命じた、殺害された人数は3千人を超えている。この中には無実の人もいる。違法な殺害行為に対して、西側社会はドゥテルテに厳しい目を向けている。ドゥテルテは自分に向けられた非難に対して、過激な言葉で反論している。先日もオバマ大統領に対して、暴言を吐き、会談がキャンセルされてしまった。

 

孤立を避けるための中ロ接近

大統領は、世界からの孤立を避けるために、フィリピンの旧宗主国である米国との関係を見直し、他の国との関係強化を模索している。米国と歴史的に対立関係にある二つの大国を連携相手に選んだと明らかにしている。中ロ両国は共に実質的な専制国家であり、ドゥテルテはこれらの国は彼を擁護してくれると思い込んでいる。中ロとも、人権より権力基盤が最重要の国であり、反米を唱えるドゥテルテはもちろん大歓迎されるであろう。

                                                                                

権力基盤の維持のための安全策

ドゥテルテは10月に中国、日本、それとロシアの訪問を計画している。フィリピンと中国は、南シナ海の領有権問題をめぐり長年対立している。国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は今年7月、南シナ海の領有権をめぐる中国の主張を退ける判断を示したが、中国は仲裁判断の受け入れを断固拒否している。中国は、ドゥテルテに擦り寄って、不利な状況を覆すことを画策している。ドゥテルテの本音は領有権よりも、中国から多くの経済協力を引き出し、政権の維持を図りたい思惑がある。ドゥテルテは反米を唱えることにより、国民の支持を失うことを恐れている。そのため中国からの経済援助は、権力を維持するためには絶対必要である。

 

中国との交渉

中国にとって、フィリピンはそれほど重要な国ではない。ただ、仲裁裁判の判断の履行を迫る、日米からの圧力を封じるために、フィリピンに中国の南シナ海の領有権を認めさせることを狙っている。フィリピンが中国に判断の受け入れを迫っても、足元を見られてしまうだけである。日米の後押しがなければ、交渉は中国に一方的に押し切られ、経済支援も期待できない。しかし、ドゥテルテは反米に舵を切ってしまった。中国との交渉は難しくなってしまった。

 

歴史を持ち出して北京に接近

ドゥテルテは心情的には中国に全面的に接近したいのであるが、フィリピンと米国との経済の結びつきが強いため、ドゥテルテは、アメリカの植民地時代に起こった虐殺事件をことさら強調して(南京事件を使って反日教育を行っている北京流)、国民を反米に誘導している。しかし、中国から期待した支援が得られない場合は、国民の反感を買い、政権基盤が維持できなくなる。

 

保険としての日本の価値

反米に舵を切った、ドゥテルテが中国から多大の経済援助を得るためには、強力に仲裁裁判の判断の履行を迫るしか無い。更に、自国の領海であることを強く主張するためには、中国船の侵入を阻止する必要がある。しかし、フィリピンには警備するための船舶もノウハウもない。そこで頼りにしている国が日本である。日本はアキノ前大統領の南シナ海の領有権主張を支援するためにフィリピンに対して2018年までに巡視艇10隻の供与に合意している。

 

複雑な世界情勢

しかし、日本がフィリピンに対して巡視船を供与するのは南シナ海を中国の領海にさせないためである。ドゥテルテが経済協力と引き換えに、中国に南シナ海をの領有権を認めた場合は、日本とフィリピンとの関係は悪化し、日本政府は巡視船供与を反故にすることも予想される。ドゥテルテが自分の思いつきで、「ルビコン川を渡る」と言って、反米に舵を取ることはフィリピン国民が認めないであろう。世界情勢は非常に複雑で、ドゥテルテが警察と自警団を使って麻薬密売人を殺害できても、中国に南シナ海の領有権を認めて、代わりに有利な経済援助を引き出し、政権を維持することは不可能である。

 今後の展開予想

アメリカが嫌いだからといって、中国に接近するのは愚かである。フィリピン世論がそれを認めるかも不明である。ドゥテルテに反対する世論が巻き起こった場合、世論を弾圧するために中国の力を借りるのであろうか。

 

まとめ

ドゥテルテは報道陣に対して、反米に舵を切るのはルビコン川を渡る決断だと言っている。しかし、中国にとってフィリピンは魅力のある国ではなく、南シナ海の領有権の交渉相手に過ぎない。

 

国民を反米に誘導するために、アメリカ植民地時代の虐殺を持ち出している。南京事件を持ち出して日本を非難する中国流を踏襲している。

 

ドゥテルテは中ロに接近するために、中ロの企業にフィリピンの土地を120年間賃貸すると言っているが、歴史に悪名を残すことになるのではないか。

 

アメリカはフィリピンが攻撃されても守ってくれないと主張するが、フィリピンを攻撃する国は中国ではないのか。

 

結局、ドゥテルテは第2の金正恩か、それとも第2のトランプか?