一老人の思い込み

老人の目から見た日本と世界

ドゥテルテ大統領の親中政策

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ドゥテルテ氏と中国政府の同床異夢

ドゥテルテ大統領の中国訪問

中国の習近平国家主席は10月20日、北京でフィリピンのドゥテルテ大統領と会談し南シナ海問題解決に向けた2国間協議を再開することで一致した。中国の権益主張を退けた7月の仲裁裁判所の判決を棚上げするものとみられ、判決順守を中国に強く求めてきた日本や米国には打撃となる。

 

反米政策 

ダバオ市長時代に麻薬密売人を違法な方法で殺害したことに対して欧米の人権団体から強く避難されており、欧米からの圧力に反感を抱いており、オバマ大統領に対する非礼な言動で会談が取り消されている。

 

ドゥテルテ氏は米国政府関係者に対してフィリピンは米国との軍事協力を減らしていくことを伝え、彼の反米感情は彼の中国への傾斜とともに米国政府関係者に疑念を抱かせている。

 

ドゥテルテ氏は中国の支援があれば、欧米の圧力を受けずに、インフラ整備を行い、国民の支持が得られると考えている。しかし、彼は国際政治に疎く、中国やロシアの支援があれば、アメリカとの関係が悪化しても、国民の支持は得られると考えている。

 

親中政策

ドゥテルテ氏は祖父が中国人であることによる中国に対する親近感を持っている。さらに南シナ海領有権問題の棚上げの見返りによる、中国からの経済支援に期待して、親中路線に舵を切っている。

 

中国側の求めに応じて、南シナ海での石油と天然ガスの中国との共同探査について考慮しているもようであるが、フィリピン議会の審議が必要である。

 

ドゥテルテ氏は反米路線を鮮明にしているが、米国との70年に渡る同盟条約を破棄することや、中国が最も望んでいる、米国がフィリピン国内の5箇所の軍事基地の使用を認めた協定を破棄することについては言及を避けている。

訪中の成果の強調

中国訪問の成果を国民に示すために、ドゥテルテ氏には多数のフィリピン経済界関係者を同行させ、中国訪問中に両国間で、135億ドルの契約が調印される見込みである。

 

フィリピンと中国は海上協力について共同沿岸警備委員会を創設することで合意した。これまで中国沿岸警備艇がフィリピンの漁船をスカボロー礁から締め出していたことからすれば重要なステップとなる。

 

フィリピンの漁業問題に対して、ドゥテルテ氏の求めに対して、中国はフィリピンに対して水産養殖と加工について支援することに同意した。

 

ドゥテルテ氏は麻薬密売人に対する政策の正当性をアピールするために、北京の薬物中毒リハビリセンターを訪れ、薬物犯罪者に対する中国の厳罰主義に対する彼の支持を表明することにしている。欧米とは異なり、中国は薬物に対するドゥテルテ氏の多数の麻薬密売人の殺害を批判していない。

 

フィリピン国内での反発

ドゥテルテ氏とは異なり、フィリピン国民は米国を肯定的に考えている。2015年の調査によれば、フィリピン人の92%が米国に好意を持っている。フィリピン人はアジアで最も親米である。

 

米国との同盟を破棄するとフィリピン国民及び米国を強く支持している軍をドゥテルテ氏から離反させることになる。

 

フィリピン最高裁のカルピオ判事は南シナ海のスカボロー礁について、ドゥテルテ大統領が主権を放棄した場合、大統領は弾劾に値すると述べている。判事はまたドゥテルテ氏が一度主権を譲り渡せば、中国は二度と我々に戻すことはないとクギを刺している。

 

まとめ

フィリピンと中国は南シナ海の領有権問題でこの数年間、アキノ前大統領のもとで中国との緊張が増していたが、ドゥテルテ氏の親中政策により関係改善に進みそうである。しかし、ドゥテルテ氏が期待するような支援を中国が行うかどうかは不明である。中国の狙いは仲裁裁判所の判断の効力を無くすことにあり、中国にとってフィリピンはさほど重要な国ではないからである。さらに、米国との関係が悪化すれば、フィリピン経済に悪影響が出て、国内世論はドゥテルテ氏から離反する可能性がある。ドゥテルテ氏は強権を使って地位にしがみつくか、短命政権となるかいずれかである。