政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

トランプが大統領選に勝利した理由

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パンドラの箱を開けたトランプ ― アメリカ崩壊の始まり 

トランプはアメリカ社会を分断してしまい、国のまとまりが失われ、合衆国から離脱する州が現れるかもしれない。アメリカの大統領は45代のトランプで最後になるかもしれない。

 

アメリカ分裂の予感

アメリカ共和党のリンカーンは南北戦争に勝利して、奴隷解放を成し遂げ、アメリカで最も尊敬される大統領となった。

 

共和党のトランプは時代に取り残された保守的な白人に実現不可能な政策を提言して支持を取り付けてアメリカ第45代大統領に選ばれたが、アメリカ社会は分断し、アメリカ合衆国は崩壊するかもしれない。アメリカの大きな州であるカリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ州は独立するかもしれない。

 

大統領選挙結果

トランプの番狂わせの大勝利を分析するには数週間から数カ月が必要かもしれないが、彼は選挙運動で白人至上主義を唱え、中南部の白人保守層の支持を得て、民主党のクリントンを抑えてアメリカ大統領に選ばれた。選挙人の数ではトランプがクリントンに選挙人の数で60人以上の差をつけて勝っていたが、総得票数ではクリントンが30万人以上の差を付けられた。トランプは中南部の産業が衰退した州の時代から取り残された白人保守層に取り入り勝利を手にした。

 

選挙の後

トランプは大統領選挙では不正が行われており、破れた場合は結果を受け入れるかどかどうかは今は言わないと、選挙運動期間中に発言していた。実際、選挙が終わったら、多くの都市でトランプ大統領反対のデモが繰り広げられている。

 

欧米の支配者階層であった白人保守層が直面している問題

誰もが予想できないことが今年起こっている。トランプが大統領選に勝利したことに限らず、6月の英国のEU離脱でも現れており欧州で反移民のポプリストの政党が出現している。

 

これらの背景には、白人保守層の反発がある。彼らは社会変革、テロや暴力、アイデンティティ喪失に恐怖を感じている。

社会変革に対する恐怖

欧米ではこの数十年で社会が激変している。

 

女性の権利運動は性の規範を変えてしまい、反人種差別及び公民権運動は古い支配者階層を弱体化させ、同性愛者の権利により結婚の概念が変わってしまった。

 

最近では、移民によりアメリカの都市部の人口構成が急激に変化して、今後数十年で白人は多数派でいれなくなる。

 

民族の多様性が急激に進むと反移民政策を唱える政治家への支持が急激に広がってしまう。

 

近年、アメリカ国内の外国人コミュニティーは国境近くから、大都会に移り、国の中心部の多くに州に広がっている。

 

これらの地域がトランプ支持基盤になっている。トランプは彼らにメキシコとの壁を構築し不法移民を一斉追放すると約束していた。

 

一部の人々は特に社会の変化に敏感である。彼らは権威主義的な有権者と呼ばれ、よそ者に対する強い恐れと、社会秩序と多数派の維持に強い執着を持っている。

 

権威主義者は社会の変化に強い危機感を持っており、トランプのような威圧的な政治家が移民やよそ者に対して懲罰的な政策をとることを期待している。

 

テロや暴力に対する恐怖

白人保守層はテロや暴力に対して本能的な恐れを抱いている。

 

テロリストの攻撃や暴力犯罪のような身体攻撃への恐怖から保守白人者層は自由や民主制度よりも安全が優先すると考えている。

 

この種の恐怖は広がっており、過去20年間で、ほとんどのアメリカ人は犯罪は増加していると考えているが、実際には、犯罪率は大幅に減少している。

 

トランプは選挙運動期間中、テロリストの脅威を煽ったが、実際には、アメリカ人に対するテロリストの攻撃は非常に少ないのが現実である。

 

トランプは選挙運動でアメリカ人の殺人は過去45年で最大となっていると虚偽のデータを挙げて選挙民に恐怖を植え付けていた。

 

彼はまたテロリストの攻撃を防ぐためにイスラム教徒の移民を禁止するように主張した。

 

彼は黒人の命を尊重する運動により警官が殺害されていると主張して、アメリカの黒人を蔑視する白人層の支持を集めた。

 

彼は移民やイスラム教徒が犯罪と暴力を持ち込んでいると主張して白人保守層に恐怖を与えた。

白人保守層のアイデンティティ喪失へ不安

社会の急激な変化に対応できない白人保守層はアイデンティティを失い始めている。

 

白人はこれまで多数派を形成して文化や政治的に特権を享受してきた。

 

長年、アメリカの白人層は社会的に多数派であった。しかし、数十年前から、公民権運動や多様な移民政策により変化が生じてきた。

 

長年に渡り、労働者階級の白人層は、経済が発展すれば、彼らは恩恵にあずかることが出来、彼らの子供たちはより良い人生が送れると確信してきた。

 

欧米の産業や製造業が衰退するに従い、工場労働者は仕事を失った。多くの中小都市が打撃を受け、白人はアイデンティティを失い始めている。彼らの多くは将来に希望が持てず若者たちがより良い機会を求めて他の地に移り住むのを目の当たりにしている。

 

このことから、時代から取り残された地域の多くの白人がトランプを強く支持する原動力となった。

 

これらの要因が新たなポピュリズムを作り出している。長く疎外された貧しい人々の怒りではなく、大衆の反発であり、これまで享受してきた特権を失った人々の怒りである。

 

パンドラの箱を開けたトランプ

この怒りがトランプを第45代大統領にしてしまった。この分断がアメリカの国家の危機を招くかもしれない。