政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

日本とインドとの原子力協定が意味するもの

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民生家電部門で国際競争力を失った現在、日本政府は大型なインフラ輸出で活路を見出そうとしている。

 

インドと原子力協定締結

東京電力福島第一原発事故の後、国内の反原発運度の高まりにもかかわらず、日本政府は国内の原子力企業がインドに原子力技術を売り込めるような道筋を付けた。原油価格の低迷、原子力の安全性から、原子力エネルギーの市場は狭まっており、インドは原子力エネルギーの利用を増加させることを計画している数少ない国の1つである。

 

日本の原子力産業

日本の原子力産業は原発事故の後、原子炉新設の計画は取り消され、行き詰まりを見せている。その結果、原子力発電所建設に携わってきた東芝や日立は大きな打撃を受けている。

 

国内市場が壊滅状態で、日本企業は海外に活路を見つけ出そうとしたが、成功はおぼつかなかった。

 

東芝は国際市場に参入するために2006年にアメリカの原子力企業のウエスチングハウス社を54億ドルで買収した。福島事故以前にも東芝は収益を上げるために苦戦していた。東芝は昨年12億ドルの会計スキャンダルが明るみに出た。東芝は原子力発電ビジネスでの損失を隠蔽するため社の収益を水増する必要があった。

 

原子力エネルギーの需要の変化

原油及び天然ガスの価格の低迷で原子力エネルギーの需要は減少しており、世界各国は原子力発電所建設計画を大幅に縮小している。

 

東京電力福島第一原発事故により安全面の不安が増大した。日本企業は市場が縮小する中で、低価格供給国のロシアや韓国と競争しなねければならなくなった。

 

韓国はアラブ首長国連邦の最初の原子炉建設の契約を結ぶために日本より安い金額で入札した。福島第一原発を所有している東京電力はトルコの原子力発電所建設と運転の入札から撤退した。日仏の共同事業体は安倍首相の強力が外交努力により、最終的に2013年にトルコとの契約を勝ち取ったが、福島事故以降海外で勝ち取った唯一の原子力発電所の輸出である。

 

有望市場としてのインド

インドは経済成長がめざましく2015年度の経済成長率は7.6であり、今後も高い成長が維持されると予測されている。それに対してインフラ整備は非常に立ち遅れており、電力不足は深刻である。電力を火力発電に依存しているため大気汚染は中国以上である。その為インド政府は今後10年間で20基の原子炉の新設を計画しており、更に55基の原子炉が提案されている。

 

世界各国の原子力企業がインドへの輸出を考えている。米国などは10年前からインドへの原子炉の輸出を認めており、原子力協定に署名している。

 

日本とインドの関係

インドは中国と国境問題を抱え、中国との関係は良好とはいえない。日本とインドの関係は歴史的に見ても組みしやすく、安倍首相はインドのナレンドラ・モディ首相と原子力協定を締結した、これを契機に、広範な戦略的関係強化につなげて、中国に対抗することを考えている。

 

インドとの原子力協定の締結は日本では論議を呼んでいる。インドは核保有国であり、核拡散防止条約に加盟していないからである。被爆国の日本人の多くは原子力協定を締結する事を望んでいない。

 

日本の一部メディアはインドとの原子力協定に反対する社説を掲げ、広島と長崎の市長は協定中止の嘆願を政府に送った。

 

安倍首相はインドが核実験を行えば日本は各関連輸出を停止する権利を有しており、日本が輸出する核技術をインドは平和利用させるための法的な枠組みがあることを強調している。

 

インドにおける原子力発電所建設で生じる問題

インドで原発建設は容易なことではない、原子力発電所は計画から建設までに数10年の期間が必要であり、この点からプロジェクトの遂行は政治的にも経済的にも脆弱である。地域の反対により、インド政府は原発の設置場所を変更する必要が出るかもしれない。インドの法律は事故を起こした場合は製造会社が無制限の責任を負うため、インドに原子炉の発輸出契約を結んだ企業でさえ、プロジェクトは進展していない。

 

インドは米国や他の国と国内の事故に対する補償基金を設けて、製造企業の責任リスクを最小にすることを計画している。

 

そのような障壁が解消したなら、インドとの契約で利益が得られる最初の日本の企業は東芝である。東芝のアメリカの子会社であるウエスチングハウス社はインドに6基の原子炉の建設について条件付きの認可を受けている。

 

考察

安倍政権が脱原子力に舵を切れない理由は、北朝鮮などの核保有国の脅しに対して、いつでも核武装が可能であることを示す狙いがあると言われている。

 

東芝が原子力部門の赤字により会計の不正を行いその為、原子力部門ではなく、虎の子の医療部門を売却することになってしまった。

 

代替エネルギーの普及、原油価格の低迷、原子力の安全性の問題により原子力の未来は暗い。福島第一原子力発電所の廃炉作業に莫大な費用が必要とされている。

 

日本はオイルショックからも立ち直れた国である、原発事故もビジネスチャンスとすることが出来る。巨額な廃炉費用のマイナス面だけでなく、廃炉技術を習得する絶好の機会と捉えて、技術開発やノウハウの蓄積により、原発事故対策や廃炉ビジネスを世界に提供することも可能である。