読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

中国は外国人にスパイの罪を着せ、取引材料に使う

広告

中国でスパイの罪を着せられたカナダ人男性が2年の勾留の後、釈放される。 

 事件の概要

2014年に中国でスパイ行為と国家機密窃盗の容疑で身柄を拘束され、その後起訴されていたカナダ人のケビン・ギャラット氏が昨年9月釈放されてカナダに帰国した。ギャラット氏は2014年、北朝鮮との国境沿いに位置する中国北東部丹東で妻のジュリア・ドーン・ギャラットさんとともに拘束され、後に彼女だけが保釈されていた。

 

ギャラット夫妻ははともにキリスト教徒で、拘束前は丹東でカフェを営み、貧困に苦しむ北朝鮮の人たちに支援物資を送る活動を積極的に行っていた。

 

ギャラット氏は13日に丹東の裁判所で判決が言い渡され、15日にカナダへ送還された。

 

事件の背景

ギャラット夫妻は逮捕及び勾留された経緯を12月12日に報道陣に語った。

 

ギャラット夫妻は知らぬ間に中国政府の策略により人質にされてしまった。中国政府はカナダ政府が中国人スパイを米国に引き渡すことを阻止するための人質として使った。

 

夫妻の説明から中国政府の不透明な情報機関の実態が分かってきた。勾留期間中、情報機関の取調官は夫妻に対して処刑をちらつかせたり、北朝鮮の収容所送りを匂わして脅し続けた。

 

中国の情報機関

カナダ政府が中国政府と関係が良好であっても、夫妻の体験から中国での活動はリスクがあることが明白になった。夫妻がカナダに戻った後も完全に安全になったと感じる事は出来ていない。中国の情報機関は常に夫妻や親戚を監視し続けていることを裏付ける不審な出来事が多数起こっている。

 

ギャラット夫妻の中国での活動

夫妻が経営していたカフェは国外在住者、国外に関心のある地元の中国人、や様々な人々のたまり場であった。店の客には米国やカナダの外交官に加え夫妻と店の客に疑いを持っている中国情報機関の人間も含まれていた。

 

ギャラット夫人は地元の大学で国際貿易と経営学を教えており、ギャラット氏はカフェを営み、週ごとに英語の交流会を開いていた。

ある晩、夫妻は中国人の知り合いからレストランでの夕食に誘われ、知り合いの娘のカナダへの留学について相談を受けた。

 

しかし、会食は罠であった。6週間前にバンクーバーで中国の航空起業家が2名の中国軍兵士と共に米国の軍事情報を盗んだ罪で米国政府から起訴されて逮捕された事と関係があった。

 

夫妻は国際陰謀の駒として利用された。

 

夫妻の釈放に尽力したアメリカ人弁護士は「ギャラット事件は中国政府が中国実業家を米国に引き渡すことを阻止するために仕組んだものであることを中国政府は認めている」と述べている。

 

中国情報機関の取り調べ

夫妻は毎日6時間づつ3人の男性による取り調べを受けた。数年分のメール、スカイプメッセージ、及び調査記録を持ち出して、取調官はギャラット夫妻がカフェで外交官と密談を行い、司令を受け、中国の機密を盗んだと非難を繰り返した。

 

取調官は更に当時中国の大学に留学していた夫妻の息子も取り調べると脅した。

 

取調官は夫妻が情報の入手先を尋ねると、世界中に中国の情報部員がいることをほのめかした。

 

釈放と勾留

2015年2月ギャラット夫人は保釈金を支払って釈放されたが、ギャラット氏はスパイ罪で起訴され、医療刑務所に送られた。

 

中国の思惑

昨年2月に、スパイ罪で起訴された中国人実業家は送還への異議申し立てを取り下げ、米国政府との司法取引が成立した。

裏取引

カナダの首相がグループ20サミットで中国を訪れると、ギャラット夫人は中国からの出国が許された。2週間後ギャラット氏は法廷で有罪が言い渡されがた、翌日14,000ドル以上の罰金の支払いの同意及び勾留について報道機関に口外しないことを約束する書面に署名して釈放され、東京経由でカナダに帰国することが出来た。ギャラット氏はこの金は北朝鮮の孤児のために蓄えたものであることを報道陣の前で語っている。

 

数日後、中国とカナダは自由貿易の取り決めと犯罪者引き渡し条約の協議に入ることに同意した。カナダ政府はギャラット氏釈放のために中国政府への譲歩を否定している。

 

ギャラット夫妻の勾留について、カナダ政府は何らコメントは出していない。

 

オタワの中国大使館は夫妻の勾留と中国人実業家の米国への移送との関連性については完全に否定している。

 

中国情報機関による監視

帰国後も、ギャラット夫妻は完全に自由の身になっていない。親戚は不審な電話を受けたり、コンピュータが誤動作したり、人が近づくと、家への道路に止まっている車が突然動き出すなど不審なことが起こっている。

 

視点

中国には報道の自由や、人権が認められておらず、勾留されることは命の危険がある。刑事事件においては、中国の弁護士は力を持たず、裁判に訴えることも出来ない。

中国共産党は国の憲法の上位にある。このことは中国の法律や裁判制度は人権を守るためのものではなく、中国共産党を守るためのものであることを示している。

 

参考: " Couple Held in China Are Free, but ‘Even Now We Live Under a Cloud’", New York Times 2017-1-2