一老人の思い込み

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フォルクスワーゲン米現地法人幹部の逮捕

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傷は早めに見つけて、正しく治療をしないと、命取りになる。 

1月10日、FBIは排気ガス不正問題でフォルクスワーゲンのアメリカ法人の幹部を逮捕した。

 

VW現地法人幹部の逮捕

FBIはフォルクスワーゲンのフロリダの現地法人幹部のオリバー・シュミット容疑者を逮捕し、同氏を排気ガス規制を逃れるために仕組まれたプログラムが発覚しないように虚偽の報告をした罪で起訴した。

 

捜査の伸展

現地法人幹部の逮捕は社の排出ガスの規制逃れに対する捜査が大詰めを迎えており、アメリカ司法省同社に課すペナルティについての協議に入っていることを示している。

 

事件の発端

2014年の初めにウエストバージニア大学の研究チームがフォルクスワーゲンのディーゼルエンジンに問題があることを発表した。シュミット容疑者が中心となって過剰な排気ガスは故意の不正行為ではなく技術上の問題により生じたとする虚偽の報告を規制当局に行った。

 

長期にわたる隠蔽

シュミット容疑者はフォルクスワーゲンが米国内でディーゼル車を販売し続けられるように、虚偽のデータで規制当局を騙し続けた。

 

2015年9月にフォルクスワーゲンが不正ソフトの存在を認めた後も、シュミット容疑者は現地法人の代表に居座った。昨年1月に同氏はイギリス議会の関連する委員会の議員に対してフォルクスワーゲンの企業活動は欧州では違法ではないと証言している。

 

2014年にカリフォルニア州の環境担当者がフォルクスワーゲンの排気ガスの調査を開始したとき、シュミット容疑者は現地法人の技術環境部門の責任者であった。1年以上に渡り、同氏や他の幹部は繰り返し排気ガスについて虚偽の説明をしていた。

不正の公表の遅れ

2015年9月にようやく、この幹部たちは公式にフォルクスワーゲンの車に不正ソフトが仕組まれていることを認めた。

 

大きな代償

フォルクスワーゲンの不正隠蔽や公表の遅れはカリフォルニア大気資源委員会や環境保護局を激怒させ、同社の不祥事に対するペナルティが巨額になってしまった。同社はすでに関係する車の所有者に対して総額約160億ドルの支払いに同意しており、さらに20億ドル以上の罰金が課されるもようである。

 

不正ソフトの仕組み

不正ソフトは車の排気ガスが検査されている状態を自動で検知して、制御システムを作動させてエンジン性能を落として、排気ガスを低減させるようになっていた。しかし、この制御は道路上では完全に機能しなかった。車は排気ガス規制法で認められた40倍の窒素酸化物を排出していた。

 

捜査の進展

昨年9月に、現地法人の技術者であったジェームス・リャン容疑者は不正に加担し排気ガス規制法に違反したことを認めている。現地法人幹部のオリバー・シュミット容疑者逮捕により捜査がフォルクスワーゲンの上層部に及んでいる。

 

トランプ大統領前の決着

ドイツのフォルクスワーゲンは1月20日のトランプ次期大統領の宣誓前に司法省の捜査が終結することを切望している。トランプ氏の行動は予測不能なため、同社は早期の決着を望んでいる。

 

ユーザに対する保証

和解により、ほとんどのフォルクスワーゲン車の所有者は車を社に買い戻してもらうか、環境に適合するように修理してもらうかの選択を行うことになる。

 

視点

  • 会社の上層部による不正の隠蔽工作は、ユーザに対する弁済や巨額の罰金が課せられるだけでなく、せっかく積み上げてきた会社の信用が瞬時に消失してします。
  • 部下に不可能な要求を突きつけ、部下が不正を行うと、それを隠蔽してしまう。そして、会社の信用を失墜させてしまう。フォルクスワーゲンの事件は経営上層部の体質の問題である。
  • 傷は早めに見つけて、正しく治療をしないと、命取りになる。 

 

 

参考資料:" F.B.I. Arrests Volkswagen Executive on Conspiracy Charge in Emissions Scandal", New York Times 2017-1-10