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政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

東芝が原子力事業でメルトダウンの危機

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東芝、最大7000億円の損失の可能性 

東芝の巨額損失の発生は、米国における原発工事コストの上昇が原因。東芝は2015年末に、子会社のウェスチングハウス社を通じ、米国原発建設会社であるCB&I社を買収。米国内で原発4基の建設を進めていたところ、工期の遅れや資材高騰で想定外の費用増加に直面した。

東芝は米国での原発事業の損失について、当初1000億から5000億円と説明していた。しかし、精査により、損失は最大7000億円になる可能性でてきた。

 

巨額な投資

東芝は米国のライバル企業であるウェスティングハウス社を買収することにより世界最大の原子力発電所建設企業を目指して10年の歳月と数千億円の巨額な投資を行ってきた。結果は会社存亡の危機に直面してしまった。

 

見積もりの甘さ

ウェスティングハウス社が2015年12月にCB&I社を2.29億ドルで買収した。精査した結果、CB&I社の償却が巨額になることが判明した。

CB&I社が手がけているプロジェクトは工事の遅延と材料費の高騰で経営を直撃。法的要求に対処するために、ウェスティングハウス社とCB&Iの親会社であるシカゴ・ブリッジ・アンド・アイロン社は遅延による費用負担ついて論争となった。

 

世界展開企業の管理の難しさ

東芝のウェスティングハウス社の買収は最初からギャンブルであった。ウェスティングハウス社によるCB&I社の買収は安価であったが、同社の負担費用が膨らむと買収費用の数倍の出費が必要となる可能性がある。

 

経営の読み違えと不運のダブルパンチ

東芝は2006年にウェスティングハウス社を54億ドルで買収しが、これは高すぎる買い物であり、時期も最悪であった。東芝は昨年、買収の費用として23億ドルの償却を行った。追い打ちをかけるように、不正な会計処理が発覚。東芝は原子力事業を含めた多くの事業で売上の水増しを認めた。同社の株価は暴落した。

 

急激な時代の変化

東芝がウェスティングハウス社買収のとき、識者の多くが買収価格は高すぎる警告していた。その後、世界経済危機やシェールガス革命に見舞われ、既存のエネルギーのコストが低下した。2011年の東京電力福島第一原子力発電所で起きたメルトダウンにより、日本の原子力企業は機能不全に陥ってしまった。国内の原子力業界は規模の縮小が余儀なくさせられ、東芝の原子力事業は更に悪化した。

 

しがらみによる経営

このような逆境化にあっても、東芝は原子力事業は家電事業など他より有望だと錯覚。当時すでに、東芝の家電事業は韓国や中国に対して競争力を失っていた。

当時東芝の副社長で現社長の綱川智氏は2030年までに世界で45基の原子炉を建設することは可能であると言っていたが、業界の専門家は目標は高すぎると疑問を投げかけていた。

 

東芝の更なる危機

ウェスティングハウス社は米国で、既存の原子力発電所の拡張する2件のプロジェクトを行っている。サウスカロライナ州とジョージア州の原子力発電所の工事は数年の遅れが出ており予算を数十億ドル超過している。

 

視点

日本の優良企業が次々と経営危機に陥っている。シャープは台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、再建を目指している。世界の電子産業を牽引してきたソニーは韓国や中国の企業に対して競争力を失っており、部品メーカとして面目を保っている状態である。世の中の技術革新は想像できないほど早く、経営陣はしがらみに取り憑かれていては、東芝のように経営危機に直面することになる。日本の大手企業は、経営陣を一新して、戦略の大転換が必要である。出来なければ、一流企業でも、退場することになる。

 

参考資料:"Toshiba Could Lose Billions From Troubled U.S. Nuclear Power Deal" by Jonathan Soble, New York Times 2016-12-27