政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

中国共産党政権下の焚書坑儒

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中国の習近平総書記は秦の始皇帝を目指す

焚書坑儒

秦の始皇帝は紀元前213年に、丞相であった李斯の進言により、秦以外の諸国の歴史書の焼却を命じた。民に官吏に書物(医学・占い・農業を除く)を渡させ、官吏に書物を焼却させ、民が書物を官吏に渡さない場合は、民に罰を課した。これを焚書という。始皇帝の焚書により、様々な書物が失われた。壁の中に隠されていた書物が後世になって発見された。

紀元前212年、儒者が、始皇帝の独裁と刑罰の乱発を非難して逃亡した。皇帝は儒者460人余りを生き埋めにし虐殺した。これを坑儒という。

 

現代版焚書坑儒

中国政府は毛沢東を研究している歴史家の楊繼繩氏の著書の出版を公然と妨害し始めた。昨年、楊氏は中国文化大革命の歴史書の執筆を終えた。中国政府は楊氏に対して出版しないように警告。さらに、アメリカへの渡航も禁止した。楊氏はこれまで中国人は血まみれの50年の歴史に対して沈黙させられてきたという。

 

歴史家の良心

楊氏は、文化大革命の歴史書を表し、沈黙を破った。

この著書は中国の検閲が及ばない香港で密かに出版された。楊氏は「共産党の嘘を暴き、真実を取り戻すために書いた」という。

表題は「The World Turned Upside Down(逆さまになった世界)」で、彼の前作の毛沢東の1950年代の政治による飢饉についての著書「Tombstone(墓石)」の続編である。1151ページの新しい歴史書は中国共産党の過去の闇をあばきだし、強硬路線をひたすら突き進む習近平氏に突きつけた歴史研究家の良心である。

習近平総書記による焚書坑儒

習氏が2012年に中国共産党総書記に就任してから、多くの歴史家が党の過去の美化に疑問を呈し、パージと虐殺の10年を主導した毛沢東の文化大革命などの残忍な歴史を明るみにしたとして告発されている。

楊氏の著作で扱った文化大革命では数千万人の中国人が毛沢東に泥酔した学生により自己批判を強要され百万人以上が殺害された。中国政府は楊氏の著作について、「過去のことにとらわれることは党の権威を失墜させることを目的とした『歴史を使った暴力である』と」批判している。

本が出版された後、当局は楊氏に対して本のことを外国のメディアに話さないように命令した。

 

中国政府による焚書坑儒のエスカレーション

香港は中国本土より出版の自由があるが、近年中国からの圧力が強まってきている。香港の書店の店主5名が2015年に中国政府に捕らえられて、情報の入手先の自白を迫られた。

 

楊氏の著述の中国国内での拡散

楊氏の著作は中国国内で強い影響力を持ち始めている。

香港では中国本土で禁止されている本を購入することが出来る。歴史の真実を求めている中国人が密かに購入し、税関をくぐり抜けて、中国国内に持ち込んでいる。

販売が禁止されていても、電子版が2008年以降中国国内で出回っており、さらに海賊版も小規模な書店で密かに販売されている。

 

中国政府の歴史認識の変遷

楊氏の著述は文化大革命を扱った最初の本ではない。数十年前、中国政府が歴史の教訓として、政府は同種の本の刊行を支援したことがあった。

しかし近年、中国共産党は中国近代史の研究に対して警戒心を露わにしている。政権の正当性に対する批判を封じ込めるのが狙いである。

 

歴史家楊氏の願望

楊氏は読者に対して大躍進政策や文化大革命で起こった悲劇が繰り返されないように、歴史の事実を忘れないように望んでいる。中国の歴史は共産党のものではなく、中国国民のものだからである。

 

視点

中国は日本に対して70年前の戦争中の犯罪をことさら持ち出して、日本敵視政策で共産党政権の正当性を維持している。政権維持のため、正当性の否定に繋がる事を歴史から消し去ろうとしている。

中国の景気が低迷し、社会が不安定になれば、共産党は支持を失う。旧ソ連のように、共産党は崩壊する。民主的な政府ができれば、中国国民は自分たちの本当の歴史を取り戻せるかもしれない。

 

参考資料:"Historian’s Latest Book on Mao Turns Acclaim in China to Censure" by Chris Buckley, New York Times, 2017-1-21