政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

トランプと中国の関係 ― 貿易戦争から軍事衝突へ

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トランプ大統領は中国に力で立ち向かう可能性がある。

TPP離脱

トランプ大統領はオバマ政権主導のTPPからの離脱する大統領令に署名した。中国にとってはアジア太平洋地域に中国の影響力を拡大させる好機である。

 

中国の現状

中国習近平総書記にとっては経済立て直しや、秋に開かれる共済党全国代表大会での指導部刷新の対応に追われ、アメリカとの貿易摩擦の問題は今取り組むべき課題ではないと考えている。中国の指導者にとっては政権の安定が最重要課題である。

 

中国政府の危惧

中国が危惧していることはトランプ大統領が同盟国との長年のデリケートな交渉や数十年の貿易政策を無視するようなら、台湾や南シナ海の問題について独自の政策を行う可能性があるということである。

トランプ大統領のスポークスマンはアメリカは中国が実効支配している南シナ海の島々のアクセスを認めないと警告を出した。これに対して、中国共産党系メディアはこのような脅しは戦争になると警告している。

 

トランプの最優先課題

トランプ大統領が貿易協定を破棄する理由はアメリカの雇用とビジネスを守ることにある。

世界の成長センターである南西アジアにおける中国の巨大な経済進出を抑え、アメリカの存在感を示すことを目的とした協定を破棄するためには、トランプ大統領は中国が影響力を及ぼしている地域に楔を打ち込む必要がある。

中国主導の新たな貿易協定

アメリカがこの地域での影響力を失った場合は、中国がこの地域の貿易の主導権を握る。

PTTの挫折は中国主導の貿易協定である東アジア地域包括的経済連携に道を開くことになる。

習近平総書記は中国経済を手厚く保護しているため、中国は世界最大の温室ガス排出国であると言う矛盾が生じている。アメリカの存在がなければ、中国の矛盾に立ち向かうことは困難である。

中国主導による貿易協定はアメリカを除外し、中国に都合がいいように作られている、すなわち独立した労働組合や環境の保護、及び国有企業は民間企業と同様に活動することの要求など中国が忌み嫌っている条項を除外している。

しかし、加盟を検討している、日本などの先進国と中国や支援を受けている国々の間で意見が割れ、協定が成立するめどは立っていない。

 

米中貿易戦争

アメリカ政府は中国製品がアメリカに容易に輸出できるのと引き換えに、アメリカは中国市場に容易にアクセスできることを要求している。

トランプ政権の閣僚は多額の補助金を受けている中国製品である鉄やアルミのアメリカの輸入に対して高い関税をかけると中国政府に圧力をかけている。

トランプ大統領のアドバイザーは貿易戦争になると、アメリカより中国のほうが打撃が大きいと言っているが、中国のメディアはは準備はすでにできていると報道している。

 

中国側の思惑

中国側は貿易戦争が起きた場合、トランプ政権は問題を棚上げすると見くびっている。中国政府はトランプ大統領を威勢がいいだけで、交渉不能な複雑な問題は譲歩すると見ている。企業が猛反対すればトランプ大統領は貿易戦争のリスクは侵さないと推測する。

中国側は、アメリカからの航空機や農産物の輸入を欧州、オーストラリア、カナダなどからに切り替えると主張。さらに、農業圧力団体やボーイング社の工場のあるアメリカの20から30の州は議会に圧力をかけることになるという。

 

中国の核心的利益

トランプが従来の1つの中国を捨て、台湾を承認することになれば、習近平総書記にとっては極めて重大な問題となる。

中国では今年秋に共産党全国代表大会がひらかれ、指導者の交代が行われる、この年に習近平総書記は弱腰であるとの印象をあたえることは許されない。台湾は中国の核心的利益であり、交渉対象でないと考えられている。

トランプ大統領は中国を南シナ海から排除すると言っている。その方法については何ら説明がないが、国防長官は海上封鎖を示唆している。オバマ前大統領は中国の譲歩を引き出すために同盟国に働きかけをこなったが、失敗に終わった。トランプ大統領は同盟国に期待せずに、アメリカ単独で行動を起こすものと思われる。

 

視点

トランプ大統領はアメリカの雇用と企業を守るために、中国と貿易戦争は不可避となる。さらに、台湾を承認したり、南シナ海を実力で封鎖すれば、中国と文字通りの戦争が起こる可能性がある。その際、自衛隊の派遣を要請された場合、安倍政権の対応は非常に難しくなる。今から、様々な事態を想定しておかなければならない。

 

 

参考資料:"Trump Injects High Risk Into Relations With China" byJ ANE PERLEZ et al., New York Times 2017-1-24