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政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

21世紀の寓話 ― トランプの壁

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メキシコ国境の壁の建設費用の財源はアメリカ人がメキシコからの輸入品に課される関税が当てられる

トランプが発した大統領令

トランプ大統領は1月26日、メキシコに対して同国からの輸入品に20%の関税を課すとする大統領令を発した。

 

選挙公約の実施

トランプ氏のメキシコ国境に壁を構築する費用をメキシコ側に負担させるとする要求に対して、メキシコ大統領エンリケ・ペーニャ・ニエト氏はこれに抗議して、アメリカ訪問を取り消した。これに反発して、トランプ氏はメキシコに対して非常識な大統領令を発した。

ペーニャ氏のアメリカ訪問は大統領選挙中のトランプ氏の発言で緊張感を増した2カ国の関係を修復を意図があった。トランプ氏が密入国者を一斉検挙し、国境の壁を構築する大統領令を発した後に、ペーニャ氏の米国訪問取り消しが発表された。

 

トランプの過激な思想

トランプ氏が大統領に就任してから彼は嘘や、危険な政策、それに脅しを連発しているが、メキシコに対する課税問題は一番新しい懸念である。トランプ氏のこれまでの言動は彼の短絡的な性格と国際経済と安全保障に無知であることを世界に曝け出してしまった。彼のアドバイザーはトランプ氏の短絡的な発言や行動を擁護することはあっても戒めることが出来ず、ただ慌てふためいているのが哀れである。

 

トランプは人種差別者か支持基盤の強化か?

トランプ氏がメキシコからの密入国者に対して極度の悪意を持っているのか、彼の熱烈な支持者受をつなぎとめるだけの強弁なのかは不明である。

 

北米自由貿易協定(NAFTA)の恩恵

トランプ氏の短絡的なメキシコとの貿易や外交政策はメキシコのみならず米国の労働者と消費者に重大な影響が出る。両国は1994年に同協定を締結以降、経済的の結びつきが強固になっており、両国の国民と企業に多大な恩恵を与えている。

同協定ははカナダ、メキシコ、及び米国間のほとんどの関税と貿易障壁を取り除き、北米の巨大な市場を作り出した。国境をまたいだ自動車、飛行機、その他の製品についてのサプライチェーンを構築し、数百万人の仕事を作りだしている。低賃金の仕事はメキシコで行われ、高度な製造業はカナダと米国で行われ、労働の住み分けられている。

 

北米自由貿易協定離脱の影響

メキシコからの輸入品に関税を課すことは、協定からの離脱を意味し、北米をまたいた工業部品や製品の自由な往来を損ね、米国およびカナダの製造業に重大な影響を与える。メキシコからの商品の価格が高騰する。例えトランプ氏の思惑通りに法律が成立しても、世界貿易機関の規則に違反することとなり、トランプ政権は国内からの批判に晒され、世界経済混乱の責任を追求されることになる。

 

トランプへの反論

トランプ氏は米国のメキシコとの貿易赤字が自国から金が奪われていると論理をすり替えている。実態は、メキシコとの貿易で米国での製造価格が安くなり商品の入手が容易になっている。メキシコとの貿易で一部の分野では仕事が奪われて入るが、メキシコとの貿易で、それ以上の仕事が生まれている。

 

視点

北米自由貿易協定により、メキシコでの雇用が増加しており、不法に米国に入国するメキシコ人の数は減少していることをトランプ氏は全く理解していない。

メキシコからの輸入品に対する関税は米国の消費者と企業が払うことになり、結局、トランプ氏の思惑に反して、アメリカ人が壁構築の費用を払うことになる。まさに、現代の寓話である。

 

参考資料:"Donald Trump’s Mexico Tantrum" New York Times 2017-1-26