政治経済の動き

世界と日本の政治経済の考察

国益のためのご機嫌取り作戦

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トランプ氏により中国とメキシコは非難されるが、日本とドイツは非難されない理由 

トランプ大統領は不公平な貿易で非難するのは中国とメキシコである。

これと比較すると、大統領選遊説中の言動を別にすれば、トランプ氏は日本とドイツに対する非難は弱めである。

 

米国の巨額貿易赤字

中国に風当たりが強いのは当然である。昨年の米国の最大の貿易赤字国は中国で3470億ドル。この金額は、2位の日本の5倍以上。米国のメキシコに対する貿易赤字は632億ドルで日本の689億ドルやドイツの649億ドルより少ない。

 

メキシコが非難される理由

大統領選遊説中から、トランプ氏はメキシコを強く非難。

日本の安倍首相がホワイトハウスを訪れた際、トランプ氏は安倍氏をハグして歓迎したのに対して、メキシコ大統領のエンリケ・ペーニャ・ニエト氏に対しては激しい非難から、先月予定されていた会談が取り止めになった。

 

米国の貿易政策と移民政策

トランプ氏の支持者層は米国の貿易と移民政策によりメキシコ人に仕事を奪われたと思っている。北米自由貿易協定(NAFTA)により、メキシコの低賃金労働者が米国の労働者の仕事を奪うことになり、米国の国境の取り締まりの甘さから、メキシコ人は不法に国境を超えて米国内で低賃金で仕事を得ている。

トランプ氏は支持者層との公約を守るために、NAFTAの再交渉または撤退を約束しており、メキシコからの輸入品に課税すると脅しをかけている。加えて、不法移民が米国に入国できないように壁を作ることを約束している。

工場の米国移転と米国人の雇用

30年前、米国に日本からの輸入が急増したとき、日本は米国人の怒りを抑えるための方策を考えた。米国政府と国民をなだめるために、日本の工場を米国に移し、米国人を多数雇用した。日本のご機嫌取り政策の始まりである。

ホンダはオハイオ州で、トヨタはケンタッキー州で生産している。ドイツも日本のご機嫌取り政策に追従して、米国に工場を移転させ米国人を雇用した。フォルクスワーゲンはテネシー州、BMWはサウスカロライナ州で生産している。

2014年までに日本は米国に3730億ドルを、ドイツは2240億ドルの投資を行っている。これに対してメキシコの米国への投資額は180億ドルにすぎない。

日本やドイツの米国への投資と米国人の雇用により非難を免れている。

 

首相自らのご機嫌取り作戦

特に日本はトランプ氏に気に入られようとしている。大統領選挙から1月もたたないうちから日本のご機嫌取り作戦が始まった。ソフトバンクの孫正義会長は500億ドルを投資して5万人の雇用を生み出すことを約束。安倍首相は先週訪米し、トランプ氏と面談したとき、約17兆円の投資を行い65万人の雇用創出を明言した。

 

視点

歴代の自民党政権では新しく選ばれた総理大臣は普通に米国詣を行ってきた。日本は米国に守られ、繁栄を享受してきた。米国がどのような大統領を選び出しても良好な関係が維持できなければ、軍事経済的リスクが高くなる。安倍首相のご機嫌取り作戦も国の安全を守るために不可欠な行動であり、評価されるべきである。